ティラミスヒーローの商標トラブルについて

ティラミスヒーローの商標トラブルについて

2018年1月から人気のデザート商品である「ティラミスヒーロー」を巡り、日本とシンガポールの2社が争いを繰り広げ、トラブルになっています。

争われている事項は「商標権」や「著作権」といった知的財産権です。

一体どのようなことが問題になっているのか、またトラブルがどのようにして解決されようとしているのか、以下でみていきましょう。

HERO’Sがティラミスヒーローを勝手に使用販売

ティラミスヒーローは、もともと日本で人気のあったティラミスの商品名です。猫のマークのロゴが特徴的で、人々の目に止まりやすくなっていました。販売していたのはシンガポールの「ティラミスヒーローカフェ(ヒーロー ホールディングス)」です。

ところが2018年1月、日本で1号店を出した「HERO’S」という会社が、「ティラミスヒーロー」という全く同名のティラミス商品を売り出しました。

利用されたロゴも本家のティラミスヒーローにそっくりで、シンガポールのティラミスヒーローカフェの権利を侵害するのではないかと問題視されました。

商標権や不正競争防止法違反について

商標権や不正競争防止法違反について

このようにもともとティラミスヒーローカフェが使用していたロゴや商品名をHERO’S社が勝手に使用した場合、商標権や不正競争防止法が問題となります。

ただ今回ティラミスヒーローカフェ側は自社商品のロゴや名称について、商標登録をしていませんでした。

そこで争えるのは不正競争防止法違反のみとなります。

今回の件で言うとHERO’Sは本家のティラミスヒーローと全く同じ名称を使い、酷似したロゴを使っていたのでHERO’S側に不正競争防止法違反が成立する可能性は高かったと言えます。

HERO’Sが日本で商標取得

それであればシンガポールのティラミスヒーローカフェはHERO’S社を不正競争防止法違反で訴えたのでしょうか?

実はそういったことにはなりませんでした。それどころかHERO’S社は、ティラミスヒーローが日本で商品名やロゴ名を商標登録していなかったのを良いことに、自社で先に商標申請して登録してしまったのです。

商標は先に出願したものが優先されるので今後はHERO’Sの商標登録が優先権を得て、本家のティラミスヒーローは日本で「ティラミスヒーロー」の名称やロゴを使って商品を売れなくなってしまいます。

このようなことが起こったため、日本でも「ティラミスヒーローの乗っ取り」と言われて大きな騒ぎとなりました。

HERO’Sがティラミスヒーローへロゴの使用権を譲渡

ところがその後、再度事態が急展開を見せます。HERO’Sが自主的にティラミスヒーローカフェ側に対しティラミスヒーローのロゴの使用権を譲渡したのです。

これにより、ティラミスヒーローカフェは再度「自社が作ったロゴ」を利用できるようになりました。

ただしHERO’Sは、「ティラミスヒーロー」という商品名の使用権は譲渡していないので、こちらについては依然HERO’S側に独占利用権がある状態です。

なぜ、HERO’Sはティラミスヒーローカフェにロゴのみの使用権を譲渡したのでしょうか?

それは「著作権」を意識してのことだと考えられます。

確かにHERO’Sはロゴについて先に商標登録したため、独占利用権を得ています。ただイラストロゴには制作者に著作権が認められ、これについては商標登録をしても乗っ取れるものではありません。著作者から損害賠償請求されれば、HERO’S側は莫大な賠償金を払わねばならない可能性もあります。

そうした危険に鑑みてロゴについてのみ使用権を返還した、というのが今回のHERO’Sによる使用権譲渡の真相と言えるでしょう。

今回のトラブルから学べること

ティラミスヒーローカフェは、すでに自社製品の日本販売名を「ティラミススター」と改名して売り出しています。今後HERO’S側に何らかの請求を行う可能性もありますが、HERO’S側がロゴ使用権を返したことにより、一定の解決ができていると考えられます。

今回のトラブルから学べるのは、商品を販売するときには「必ず商標登録すべき」ことです。ティラミスヒーロー社も、当初から商標登録をしていたらHERO’S社に乗っ取られずに済んだはずです。

商標登録の重要性はどのような業種においても重要ですので、是非とも頭にとどめておいてください。

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